Cluster GAMEJAM 2020に参加した話

お久しぶりの手倉テイムです。まただいぶ更新期間が空いてしまった……。
このサイト、維持に月約2000円かかっている上に、一般公開していない部分(依頼データのやり取り用など)でも運用しているので、安価なレンタルサーバーに移るわけにもいかず。
かなりコストパフォーマンス的に見ればもったいない事をしているので、もう少し更新頻度を上げないとな……と常々思いつつも、ついTwitterで済ませてしまうのが自分でも情けないです。
色々と語りたいことはいっぱいあるので、少しずつこっちで書いていくリハビリもしていかなければ。

さて、今回はそんな事態の打開も兼ねて、先日参加した「Cluster GAMEJAM 2020」についての話を、当時のツイートを交えながら書いていこうかと思います。

そもそもclusterとは

日本を代表する「バーチャルSNS」と呼ばれるサービスです。
以前はVRライブやVRイベントに特化したプラットフォームでしたが、今年3月にモバイル対応、ゲーム作成機能を代表とする大規模アップデートを機に、より汎用的な「バーチャルSNS」という形に進化しました。
イベント会場としての実績としては、これまでにときのそらさん含めたホロライブプロダクションの公式イベントや、KDDIのカンファレンスイベント、執筆現在アニメも放送されているメディアミックスプロジェクトや人気VTuberの輝夜月さんのVRライブ公演など、数々の開催実績を持っています。
(最近非常に大きなコラボレーションが発表されましたが、そこは後述します)

そんなcluster上に3日という短期間でゲームを作って公開しよう!というイベント(=ゲームジャム)が、Cluster GAMEJAM 2020というわけです。

参加した経緯

正直に告白すると、「24日までにエントリーすればTシャツとCOMPがもらえる!」という先行エントリー特典に釣られました。
だって気分を盛り上げるイベントTにゲームジャム恒例の完全食COMPですよ!?それがエントリーすると特典でもらえるんですよ!?これは参加するしかないじゃないですか!!!!!

……という半分冗談はさておき、バーチャルマーケット5に向けた「短期間で作品を練り上げ、入稿する」という訓練も兼ねて、という側面が非常に強いです。
前回のバーチャルマーケット4は製作期間中に突然の体調不良に襲われ、結果として新作を作れず、今まで習作も兼ねて作っていたモデルを並べて入稿せざるを得なかったという、非常に悲しい結果に終わっています。
またあの時の失敗を繰り返さないように、体を慣らしておこう、という思いのもと、参加フォームに参加の旨を記入し、だいたいのコンセプトを決めながら開会式の時を待っていました。

過去の自分に教えてあげたい。その開会式で想定外の悲劇が起きるぞ、今からコンセプトをガチガチに固めるのはやめておけ、と。

想定外のテーマ

先行エントリーの時点では時期的にも、時事的にも「夏祭り」がテーマとして来ると思っていたので、「射的ゲームを作るぞー!!」という気持ちで脳内でどういうゲームにするか組み立てていました。

しかし開会式での作品テーマ発表で出てきた単語は「ソーシャル」というテーマが。

今やあまり聞かない単語ではなくなってしまった「ソーシャル」という単語。それがテーマになるとは想定すらしていなかったので、「どうしよう……」と頭を抱えました。
ポケモンで目の前が真っ暗になった!という表現があるのですが、まさにその状態と言っても過言ではないくらいの衝撃。しかし、ゲームジャムの参加者である以上、「思いつかないから何も作らない」と言うわけにもいきません。

逆転の閃き、そしてさらなる苦悩

ここから相当悩みました。行列を吹き飛ばして安全な距離を保てるゲームにする?それとも逆に今やリスクがあって避けなければなならい、長蛇の列を再現したゲームにする?
なにせ想定外のテーマだったので、それまで考えていた射的ゲームはテーマ的に作れない、と思ったので、開始直後から翌朝まで、迷走した状態が続きました。

そこでゲームジャム参加者向けのDiscordで「だめだー!作れない!作りたいものがテーマに合わない!」と叫んだ結果、他の参加者から「祭りもある意味ソーシャルなんじゃない?」というアドバイスを頂きました。
(アドバイスをくれた方、本当にありがとうございました。助かりました)

なるほど確かに、と思い大急ぎで組み始め、射的の原型ができたのはお昼前でした。

しかし今度は別の問題に当たります。

「アセットストアが使えるとはいえ、景品のモデルを大量に用意できるか?」
「モデルをクリアできたとして、複数人で遊んで楽しいワールドになるか?」
「人形系モデルを景品にするとしたら、モデル側の規約、そして考えすぎかもしれないけど、clusterの規約的に危ないのでは?」
「そもそもCreator Kit(ゲーム制作時に使うツール)の仕様的に色々厳しいのでは?時間をかければ仕様どおりに作れるかもしれないけど、それだと間に合わないのでは?」

結果としてまたしても制作が滞ってしまい、気づけば最終日の8月2日を迎えていました。

そして迎えた最終日の早朝。COMPでは足りずコンビニへインスタント麺を買いに外に出た瞬間、脳裏にあるアイデアが降りてきました。

「そうだ……どんどん亭だ!」

突然ですが、「どんどん亭」という九州ローカルのお好み焼きチェーンがあります。
そのTwitter公式アカウント担当の方が非常にバーチャル方面に明るい方で、バーチャルキャストでイベントを行ったり、VRChat上でお好み焼き活動を行うなど、バーチャル界のお好み焼き担当!と言っても過言ではないほどです。

お祭り→屋台→食べ物→お好み焼き。そういう連想ゲームが無意識に走っていたのか、真相は自分でも不明ですが、なぜか脳裏に浮かんだお好み焼きの種、いや、アイデアが実現するための工程込みでどんどん膨らみます。

「射的が色々な理由で無理なら、お好み焼きを焼けばいいんじゃないか?」
「確かBOOTHでどんどん亭さん監修のお好み焼きの3Dモデルを頒布している人がいたよな?それを使えないか?」

そこからはもう一直線。お好み焼きの3Dモデルをダウンロードし、途中予期しない挙動に悩まされる、いい感じのお好み焼きが焼ける効果音がない(結果的に自分の声を吹き込むことで解決)という事件はあったものの、それまでの苦悩が嘘のようにサクサクと制作を進めることができました。

8月2日の19時、少々バグが確認できたことと、見た目まで詰める時間がなく「α版」というタイトルがついてしまったものの、無事にゲームとして成立する形で入稿することができました。

その後

その後、と言っても少し開催期間中に被ります。

ゲームジャム終了一時間前に、しゃちょーこと加藤さんからこんなツイートが。

「まーOculus Quest対応予定の日程確定とか、資金調達とかその辺だろうな」と思っていたんですよ。
そしたら予想は大外れ、「ポケモンとclusterがコラボ!」という想定外すぎるとんでもない事案でした。

そして僕の反応がこれ。

まさかゲームを公開した翌日に、日本を代表するコンテンツとの公式コラボが発表されるとは思っていなかったので、「はあああああああああああああ!?」と思わず声に出てしまいました。
ポケモンコラボの発表前日にはソードアート・オンラインとのコラボも発表されていましたし、一気に「バーチャル空間でイベントを行う」という行為が「特別なもの」ではなく、「開催地の一つ」として浸透し始めた感じもします。
そんな新しいイベントのあり方を牽引するプラットフォームに自作ゲームが並んでいる……何というか、今でも不思議な気分です。

最後に

こうやって記事としてまとめると「あー、楽しかったなあ」という気持ちが強いです。
即売会がないと締切がない、だから創作意欲がなくなる!という同人作家の気持ちがよく分かりました。締切がないとやっぱりモチベーションがガクッと下がるなあ。

少々独特の使い心地に苦戦こそしたものの、Unityの操作方法さえ理解していればたった一日でアイデアを形にできるCreator Kitは、これからのバーチャルの時代を作っていくにあたり、非常に大きな利点となるだろうな、ということを自分の腕で確かめられたことは非常に大きいなと思っています。
また、僕がVR方面を触りだした頃は本当に準備から作るまでが大変だったのですが、あれからもう約6年、clusterだけでなく、あらゆる面において開発が容易になっていて、自分が思っているよりだいぶ作りやすくなったな、と実感しました。多分触りだした頃に今回制作したものを作れ、と言われたら、1週間はかかっていたのではないかと。

とりあえず、今回いくつか浮上した課題点をクリアして、次回こそは賞を取ってみたいなと思っています。冬にまたあるそうなので、その時までにまた腕を磨いておかなければ。

では、お次はバーチャルの世界で会いましょう(※このサイトの閲覧者の数割は非VR層であると想定した沼からの誘い的な挨拶)!

宣伝

製作中に作ったお好み焼きのヘラ、BOOTHで無料(支援版あり)頒布しているので是非使っていただければ。

手倉テイム
手倉テイム

1997年6月20日、熊本県生まれ。2017年3月~福岡県在住。現在はフードデリバリーの配達を主たる業務とした個人事業主。
両親曰く「手倉は物事の考え方が(世間より)3年早い」。

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